浜松の地域演劇・人形劇について

始まりは1950年代

浜松市の演劇・人形劇の活動は、小百合葉子主宰の「劇団たんぽぽ」やNHKの放送劇団をもとに発足した 「浜松放送劇団」などを中心に1950年代から行われるようになりました。 浜松市芸術祭演劇部門は1955年(昭和30年)にスタートし、 地域の演劇団体が参加する歴史ある事業として、社会派劇からコメディまで、 劇団の個性を活かした演目で今日に至っています。

一方、近年、若者を中心とした劇団が多く生まれています。 現在、市内にはプロ・アマ合わせておよそ20劇団があり、各劇団は、公共・民間のホール、 自前の劇場で活発な上演活動を行っています。劇団同士の交流でも、静岡県演劇協会の西部連絡協議会をはじめ、 若者を中心にした県西部演劇連絡会が発足するなど、協力体制が整ってきています。

子どもたちに人気の人形劇部門は、1977年(昭和52年)に始まり、こちらも四半世紀を超える歴史を誇ります。 現在、10劇団の参加を得て、多彩な人形劇の楽しさを子どもたちに提供しています。

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より多くの方へ発信するために

浜松市芸術祭演劇・人形劇部門は、今年50回目という大きな節目の年を迎えます。 本年は、浜松の演劇や人形劇の活動を広く知っていただくために、市民の皆さんに、「観る」ことの楽しさと感動、 「体験する」ことの充実感を体感できるよう、劇団員が企画・運営に積極的に参画し、多彩な事業を展開していきます。 半世紀にわたる長い歴史のなかで培われた、地域の劇団の舞台公演を中心に、さまざまなワークショップの実施、 招へい公演の開催など、盛りだくさんのメニューで、演劇・人形劇の魅力を皆さんにお届けします。

「はままつ演劇・人形劇フェスティバル2004」と、名称も新たに開催する第50回浜松市芸術祭。 ファンの方はもとより、“ハジメテ”演劇や人形劇に触れるかもしれない、 皆さんのご来場とご参加をお待ちしています。

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扇田昭彦:地域劇団を観よう!

 「地域演劇」とは、東京以外の都市を拠点とする演劇活動のことです。いま、地域演劇の活動は盛んで、全国の地域劇団の数は3千から4千にも上ると言われます。かつて地域演劇という言葉は、東京のプロの劇団と対比して、アマチュア劇団に近い意味で使われてきました。

しかし現在では、青森県浪岡町の弘前劇場のように、地域の特性を生かしつつ、プロ・レベルの高い舞台成果で注目を集め、地元だけでなく、東京でも精力的に公演を行う地域劇団が増えています。尼崎市にある兵庫県立ピッコロ劇団など、地方自治体が公共劇場専属の地域劇団を作った例もあります。
つまり、地域演劇をめぐる状況は全国的に大きく変わりつつあります。何よりも、舞台レベルという点で、東京の演劇と地域の演劇をほぼ同等に語れる時代がやって来たことが重要です。

浜松は昔から地域演劇の活動が盛んな都市です。今回の浜松市芸術祭に参加する劇団の舞台を見て、地域演劇の魅力を実感して下さい。
(せんだ・あきひこ=静岡文化芸術大学教授・演劇評論家)

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